対談インタビュー

対談インタビュー「マンション管理と大規模修繕」

こちらのページでは「NPO法人 ECO-ECO建物再生推進協会」の理事長:五十嵐 一夫と、副理事長:渡邊 一之の「マンション管理と大規模修繕」に関する対談インタビューをお届けします。

プロフィール

理事長
五十嵐 一夫Kazuo Igarashi
略歴 施工会社・マンション管理会社を経て独立。
アーバン・スペース建築事務所代表
副理事長
渡邊 一之Kazuyuki Watanabe
略歴 施工会社に長年在籍後、コンサルに転身。
オフィスレコン株式会社代表取締役

今こそマンションのことを真剣に考える専門家が必要

――「NPO法人 ECO-ECO建物再生推進協会」とはどのような組織ですか?

五十嵐 一夫(以下、五十嵐):当協会は、マンション管理や大規模修繕について熟知しているコンサルタント集団です。でもただ熟知しているだけでなくて、管理や施工の現場経験も豊富なので、管理組合様の立場に立ったコンサルができるのが特長です。

渡邊 一之(以下、渡邊):理事長や私を筆頭に、当協会のコンサルタントは現場経験が豊富です。でも実際のマンション管理や大規模修繕の現場では、修繕計画の設計が甘いために修繕積立金が不足して、大規模修繕がまともに行えずにトラブルに発展するケースが頻発しているんです。

――「NPO法人 ECO-ECO建物再生推進協会」とはどのような組織ですか?

五十嵐:そうそう、マンション管理や大規模修繕で1番問題となるのは、「修繕積立金の不足」ですね。マンションを売る側としては、少しでも販売価格を抑えたいので修繕積立金を低く設定しがちです。その方が、「安く買いたい」というニーズと一致して売りやすいですからね。

渡邊:でもそれによって必要な修繕積立金を貯めることができずに、後の大規模修繕の段階になって初めて、「修繕積立金が足りない!どうしよう!?」となる最悪のケースが後を絶ちません。

五十嵐:マンションの維持・管理が、売る側の都合で考えられているのが問題ですよね。

――「NPO法人 ECO-ECO建物再生推進協会」とはどのような組織ですか?

渡邊:その通りですよね。マンションの主役は間違いなく居住者であり、暮らす人を基準に考えるべきですよね。それに管理や大規模修繕のシーンでは管理組合様が主体となります。その認識があやふやになってしまっているのが問題だと思います。

五十嵐:「マンションのことを真剣に考える人がいないと誰も住み着かなくなり、いずれかは“スラム化”してしまう」、そう危機感を持ったのが「NPO法人 ECO-ECO建物再生推進協会」を設立したきっかけです。私たちのようなマンションを熟知したコンサルタントが、設計事務所やマンション販売会社などの目先の利益に惑わされることなく、第三者的な立場からマンションのことをアドバイスする――。これが当協会の役割です。

省コストでしかも地球にやさしい、それが“ECO-ECO” に込められた想い

――どうして“マンション”と“エコロジー(環境)&エコノミー(省コスト)”がつながるのですか?

五十嵐:当協会の前身である「ECO-ECOマンション再生研究会」が任意団体として設立されたのが、2009年のこと。世の中の流れとして、温室効果ガスの排出量を1990年にくらべて6%削減することが目標として義務付けられたり、「チーム・マイナス6%」という運動が立ち上がるなど、世間のエコに対する関心が高まりつつある時期でした。

渡邊:そういえば、鳩山内閣で「温室効果ガス25%削減」という数値目標が掲げられたりもしましたね。バブルが崩壊して景気が低迷する時代が続き、もはやどんどん壊してどんどんつくる、いわゆる“スクラップ・アンド・ビルド”の時代ではなくなりましたからね。

――どうして“マンション”と“エコロジー(環境)&エコノミー(省コスト)”がつながるのですか?

五十嵐:そうですね、「マンションに長く安心して住むにはどうしたらいいか?」という考え方に切り替わりつつあるタイミングだったと思います。それにエコの観点から廃材の少ない建築資材や、溶剤を使わない塗料など、各メーカーの技術革新が進んだタイミングでもありましたね。

渡邊:エコな製品は地球だけでなく、人にもやさしいですからね。例えば日中マンションで過ごす時間の長いご家庭の奥様やお子様、お年寄りの方にとっては、溶剤を使わない塗料は匂いがきつくない上に、化学物質によるアレルギーの心配もありませんよね。

――どうして“マンション”と“エコロジー(環境)&エコノミー(省コスト)”がつながるのですか?

五十嵐:今ではエコロジーとマンション管理や大規模修繕は、切っても切り離せない関係になりつつありますよね。それにその後に起こる東日本大震災や一連の原発事故などから、太陽光発電に代表される再生可能エネルギーに対する関心も高まりましたね。

渡邊:それに質の良い建築資材や塗料を使うことは、結果的にマンションの寿命を長期化することにもつながるのでトータルコストで考えれば省コストでエコノミーにもつながります。目先の費用にとらわれてしまった“安かろう悪かろう”な製品を使った大規模修繕では、マンションの資産価値低下にもつながりかねませんからね。

五十嵐:マンションの資産価値を向上させる観点からも、私たちがしっかりと管理組合様をサポートしなくちゃいけませんよね。

快適なマンションライフに寄り添うパートナーでありたい

――マンション管理や大規模修繕で大切なことはなんですか?

五十嵐:まず当然のことなのですが、「マンションは一人ひとりの居住者が維持・管理していくもの」という認識を持ってほしいですね。戸建住宅と違ってマンションは区分所有のいわば“共同住宅”です。「自分だけ良ければいい」「嫌になったら引っ越せばいい」という考えは良くないですね。

渡邊:そのためには、居住者一人ひとりが主体性を持って管理組合の活動に参加することが大切ですよね。管理組合は申込制度ではなく、マンション購入と同時に参加するもの。でもなかには、「管理組合に申込んだ覚えはない!」とおっしゃる方もいます。それではいけませんよね。

五十嵐:それに修繕積立金の徴収にご不満を持たれる方もいます。でも管理や大規模修繕は、「マンションでいつまでも快適に過ごす」ために必要なお金です。豊かで幸せな未来の暮らしを考えたら、しっかりとした計画で積み立てていきたいですよね。ですからあまり管理会社任せにはしないで、私たちのような専門のコンサルタントと一緒に、マンションの未来を考えた計画を考えてほしいですね。

渡邊:修繕積立金は、最終的に住人一人ひとりに跳ね返ってくる問題ですからね。もちろん当協会では、管理会社の選び方のアドバイスもしています。どうしても管理会社任せにしてしまうと、自分たちに都合のいい下請け会社に工事を丸投げしてしまう恐れがあります。工事経費を安く抑えて、浮いたお金を自分たちの懐にい入れてしまう悪質な会社もあります。

五十嵐:例えば工事写真を撮影する部分だけ丁寧に工事をしたりするような会社も残念ながら存在しますね。信頼して任せられる管理会社を選ぶことも、マンションにとっては大切なポイントですね。でも管理組合の方はマンション管理や大規模修繕の専門家ではないので、こういう時にこそ私たちのような専門家を頼ってほしいです。

渡邊:そう考えるとマンション管理や大規模修繕にとって、いかに相性が良くて信頼できるコンサルタントと出会えるかが大切なのかもしれませんね。

五十嵐:そうですね、ぜひコンサルタントの専門知識をフル活用してもらって、いつまでも快適なマンションライフを過ごしてほしいですね。そのためには私たちもサポートを惜しみません!

――マンション管理や大規模修繕で大切なことはなんですか?