長期修繕計画と大規模修繕

長期修繕計画と大規模修繕

2017/02/05

マンション管理組合のみなさんは「大規模修繕の実施時期」を
どのように判断していますか?
「長期修繕計画」で決まっているから・・・
それとも、著しい劣化、例えば、居室内等への漏水、外壁の
剥落、美観の低下・・・が認められるから・・・

多くの場合は前者の「長期修繕計画で決まっているから」
長期修繕計画とは・・・
あらかじめ耐用年数や保証期間などを基に修繕時期を予想して
資金計画を作成する資料
建物の立地環境や建物の形状等を考慮していないケースが
ほとんど。
簡単にいうと内陸より沿岸のほうが錆びやすいとか開放廊下型
より階段室型の建物のほうが雨風の影響は受けにくい等々
ほとんどの長期修繕計画の修繕サイクルはほぼ同じ物件に
関係なく一般的なサイクルで作成されているということです。

もちろん、計画修繕の考え方は「悪くなる前に」という「予防
保全」の考え方によるもので、「計画通り進めるな!」という
ことではなく、当然、資金的な問題が短期的にも長期的にも
付いて回り、それについての検討は必要不可欠です。

では、実施についての検討はいつからすればよいのか?
もちろん、長期修繕計画は前述したように修繕時期の目安と
して判断材料の一つになり、重要な要素になります。
ただ、ここで注意しなければならないのは、本当にすぐに行う
必要があるのか?まだ数年先でもよいのでは・・・?
何れにしても区分所有者を納得させるだけの理由付けが必要に
なってきます。
そのために「建物調査診断」を行い、その結果を基に実施の
有無を判断するという作業が必要になるということなのです。
もちろん、劣化度や緊急性、工事に必要な足場の要否などを
考慮し判断する必要があります。

よくありがちなのが、長期修繕計画をもとに既に「大規模修繕
を実施する」という前提の基に計画を進めるといったことが
あります。
例えば、コンサルタントに「設計・監理業務」を委託する場合、
当然、人間の場合と同じようにどこが悪いのか?原因は何なのか?
治療方法は・・・といったことを建物調査診断を行い判断し、
修繕の必要性、範囲、工法等を決定します。
ただ、多少の不具合箇所があっても緊急性・重要度が非常に低い
場合や足場の要否など費用対効果を判断してもう数年先送りした
ほうがメリットが大きい場合があります。
メリットとは金銭的な面もありますが、住民さんの精神的な負担
などもあります。
毎年、少しづつ工事を行った場合、その規模にもよりますが
常に工事を行っているケースもないとは言えません。
また、共通仮設費と呼ばれる現場事務所、資材置場や作業員用
トイレなどの費用や現場管理費等々についてはまとめて施工する
ことによって削減される場合もあります。

大事なことは皆さんが住まわれている建物であり皆さんそれぞれ
の共有の財産だということ。
自らの目で建物を視て状況を知ること。
それから、専門家に建物調査診断を依頼し、専門家の目で見た
調査結果を基に次のステップに進むという手順が必要だという
ことで「長期修繕計画」で決まっているからその通りに実施
しなくてはいけないというものではないということ。
専門家の調査結果を基に「大規模修繕工事」の実施にむけて
準備をすすめても遅くはないということです。

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