「修繕計画」の基礎知識2

「修繕計画」の基礎知識2

2017/02/13

こんにちは、USのKです。
土・日とお休みさせていただいた「修繕計画」の基礎知識
今日からまた再開です。
 
さて、今日は長期修繕計画の作成と種類について
 
まず、長期修繕計画の作成または計画修繕に実施にあたっては、対象部分の劣化、
及び損傷の程度、範囲などを調査し、計画修繕の内容、実施時期等を判断し、計画
修繕実施の基礎となる資料を作成する必要があります。(建物調査・診断
 
「修繕計画」の基礎知識 1で経常修繕と計画修繕について書きましたが、
「経常修繕(普通修繕)」日常の小修繕、または本格的修繕を行う前の応急的、
予備的なもの管理費会計(一般会計)より支出します。
 
「計画修繕」はあらかじめ設定した修繕周期に基づいて、その部分の持っている性能や
機能を原状に回復しまたはそれ以上の性能や機能に向上させるための修繕であり、
修繕積立金会計より支出します。
経常修繕とは違って根本的な性能に係わるような不具合が生じる前に予防的措置として
実施されるもの修繕周期を目安にしながら、調査診断に基づき、緊急性などを考慮し
実施時期を見極める必要があります。
 
修繕費用、修繕積立金の設定上の留意点としては
台風や火災などによる復旧工事などの計画修繕では予定していなかった不測の事故に
よる事故災害も含まれることから不測の事態に備え余裕をもって留保しておく必要があり
ます。
また、修繕費用の算出についても現状から推測した単価をもとに算出していることから
将来について算出時については将来の物価変動率については考慮にいれない場合が
多いため物価変動やその他材料・工法の変化等による上昇も考慮しておく必要が
あります。
一般的に工費の設定については大きく「メーカー設計単価」「一般市場単価」「競争対応
単価」の3種類が考えられますが、「一般市場単価」を参考にして算出することが望ましい。
修繕計画は現存するものを原状復帰、性能・機能の向上するためのものであり、
将来的な日常管理や修繕・改修にはない新たな機能の付加や増改築など居住性向上
(住環境改善)などは見込んでいないことからも余裕のある資金計画が必要とされます。
高経年のマンションであれば、建て替えの検討に要する費用も修繕積立金から支出する
することができます(標準管理規約
 
修繕計画とはあくまで予測に基づいた計画であり、事前に建物診断を行い、実施計画を
立案、時期や内容を決める必要があります。
 
「長期修繕計画」だけではなく「中期計画」「短期計画」についても検討する。
長期修繕計画の計画期間が25年~30年に対して
※新築の場合は30年、それ以降の見直しは25年が一般的。
中期計画直近の大規模修繕工事までを計画期間とするもので大規模修繕を見据えた
       やや具体的な計画とする(概ね10年前程度)
短期計画:数年後に実施が計画されている大規模修繕までを計画期間とし、
       調査を踏まえた具体的な計画する。(概ね3~5年前程度)
 
見直しは概ね5年ごと。
見直しにあたっては「劣化進行程度の変化」「居住者ニーズや経済情勢の変化」
「修繕技術の進歩」等の必要性を示し、理解しやすいものとすること
10年たってもそのままあるいは見当たらないという管理組合さんもたまにありますが、
分譲会社が作成した当初の長期修繕計画「販売しやすいように修繕積立金が
低額になるように設定」されていたり、まだ「建物自体が図面上でしか存在せず」
「住民もいない」「コンピューターで単純に作成されたもの」であるため、建物や設備、
劣化状況、居住者のニーズなど個別性を反映させたものにする必要があります。
 
次回は「標準的な長期修繕計画の考え方」について入っていきたいと思います。